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DAICHI KOMATSU DESIGN STUDIO

商工省国立工芸指導所 復刻プロジェクト
​「見る工芸から、使う工芸へ」

Self Project | 2021〜

Wooden Bowl , Canister

日本の工業デザインの始まりとも言える「商工省工藝指導所(以下、工藝指導所)」のデザインを復刻し、暮らしの中で使いながら、価値を再考するためのプロジェクトです。

工藝指導所は1928年に仙台市の五輪(現・宮城野原中学校付近)に設立され、1969年まで企業や職人に対してデザインの研究や提供・教育を行なっていました。

 

当時はまだインハウスデザイナーはおろか、デザインを自社で行うという文化がなかった時代に、工藝指導所は国立の研究機関として、デザインの見本(規範原型)となるものを、実際の素材を使いながら、試作を繰り返していました。

ドイツの建築家であるブルーノ・タウトが1933年11月に招聘され、工芸指導所に近代的なデザインの手法(現在でいうデザイン思考のようなもの)を教え込んだことにより、工芸指導所からは剣持勇、豊口克平、芳武茂介、秋岡芳夫といったその後の日本の工業デザインを牽引するデザイナーが多く輩出されました。

現在では、工芸指導所のことをを知る人は、仙台市内に暮らす人々の中でもほんの僅かとなってしまっており、残るものは設立趣意の描かれた石碑、東北歴史博物館に収蔵された約250点の試作品、そして市内に残る僅かな痕跡だけとなっています。

 

工芸指導所の存在を明るみに出し、仙台市だけでなく、デザイン業界の一つの価値として再考するために、収蔵されている試作品の中から優れたデザインを現代の技術で復刻しました。

復刻にあたっては、工芸指導所の「研究や技術の先進性を感じられるものを復刻する」という条件を掲げ、復刻する対象を選定を行っています。

​現在は、本復刻品の販売を目指し、版権整理や販売体制の構築中です。​



【 人工木目(キャニスター) 】

「人工木目」の技法は1mmの突板を着色した接着剤によって積層し、出来上がったブロック材を切削することで木目を表現する技法です。当時、この技法によって木製の容器や家具などが試作研究されていました。

今回復刻したものは、1950年代に工芸指導所に所属していた乾三郎らによってデザインされたものです。(*乾三郎は後に天童木工の工場長や常務となった人物。)

Material : Beech plywood

Finish : Oil Finish

Production:

合板木地 |株式会社天童木工(山形県天童市)
ろくろ加工 |佐賀工芸様(岩手県大野)
金属つまみ|株式会社東北マテリアルス(宮城県仙台市)
 

【非円形ろくろ(サラダボウル)】
「非円形ろくろ加工機」という同心円形の形状以外の、三角形や四角形、楕円などの非円形が加工できるろくろ加工機を工芸指導所は開発し、さまざまな器を制作していました。このサラダボウルも1950年代に海外輸出を念頭にしたデザインとして生まれたものだと考えられています。

非円形ろくろ加工の技術は、残念ながら安全性や安定性が向上せず、現在では途絶えてしまいましたが、今回はNC切削により復刻しました。

Material : JP Zelkova

Finish : Urethane

Production:​株式会社ウッド・マイスター(山形県東村山郡)

*本プロジェクトは「令和3年度仙台市クリエイティブ事業助成金」の助成事業として始まりました。

​*研究協力:東北歴史博物館、株式会社天童木工、庄子晃子氏(東北工業大学名誉教授)

​*3Dスキャン協力:株式会社 tHiN'nk.

*展示開催:公立大学法人 宮城大学 オープンスタディ(22年 4−5月)

​*展示写真撮影:越後谷 出

SC3 Web記事 「見る工芸から使う工芸へ / 工芸指導所のデザインを暮らしに再現する」

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