DAICHI KOMATSU DESIGN STUDIO
Play&Pray
東昭齊秀月モリヤ人形 | 2022
Hagoita ( battledore )
川越市で明治から続く老舗の人形店「東昭齊秀月モリヤ人形」のために「遊び」と「祈り」を身近にする、新しい羽子板を提案しました。
現代では「祈り(願望)」や「華美な装飾の縁起物」としての側面が強くなってしまった羽子板は、本来は「遊び」の要素から文化が広がっており、元々は子供だけではなく大人たちも楽しむようなものでした。
そこで、今改めて、その「遊び」の側面に着目することで、羽子板を身近な存在として位置づけられるのではないかと仮定しました。
デザインにあたっては、文献などでリサーチを行い、羽子板が室町時代に中国大陸から日本に伝わって以降、どのような変遷を辿ったのかを調べ、変わっていくものと変わらないものを捉えながら、「羽子板らしさ」を芯に捉えていくことで伝統のアップデートになると考えました。
羽子板の元祖である「左義長羽子板」から続く「立体的表現」はこれまで絵画的な表現でしかなされておらず、現代の主流である押絵羽子板もその流れの中にあります。
Play&Prayでは、表面的な装飾を剥ぎ取り、3次元的な曲面形状によって立体的に仕上げることで、装飾に代わる羽子板の新しい方向性ができると考えました。
2枚で一つになるよう平面部分にマグネットを仕込むことで「合掌」したような形状で自立します。身近なところに常に飾っておきながら、気軽に羽根つき遊びに持っていけるようにデザインしています。
マグネット部分には亀甲(六角)形状で桜材による象嵌を行い、羽子板が持っていた縁起物としての意味合いを、控えめなアクセントで表現しています。
Material : 桐, 桜
Finish : オイル塗装
Client:東昭齊秀月モリヤ人形
Project Produce : Taiyo Yasuda(THE SUN)
Production:株式会社ウッドマイスター
*図版:『羽子板(1937年初版 / 著:山田徳兵衛)』より